カンボジアでは、お正月が3回あるのをご存知ですか。西暦による正月、中華正月(旧正月)、クメール正月の三つです。今回は、それぞれのお正月を紹介したいと思います。
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西暦の正月(チョール・チュナム・クマエ)
今まで特に祝う習慣はなかった西暦の正月(インターナショナル・ニューイヤー)ですが、最近になってカンボジアにも西暦の正月が浸透してきたのか、カンボジア人も街中でカウントダウンなどで盛り上がるようになりました。1月1日のみで日本のように盛大に祝う習慣はありません。
中国暦の旧正月(チョール・チュナム・チェン)
カンボジアには、古くから中国系民が多く住んでいることから、中国の文化や習慣も伝えられてきており、中国暦のお正月があると言われています(今年は2月5日)。中国のお祝いと同じように家の軒先にたくさんのご馳走をお供えし、線香を立て線香が燃え尽きると紙製の模造100ドル札やクレジットカード、パスポート等を燃やしていきます。燃やすことで先祖に届けることができるそうです。最後に同じく先祖のために、飲んでもらうための「水」、料理をしてもらうための「塩」、田畑を耕してもらうための「米や雑穀」の3つをまきます。その後、お祝いの食事をとるのが一般的となっています。特に商業都市であるカンダール州の州都、タクマウでは中国系の住民が多く、その時期になると大変な賑わいとなります。2月頃に3日間祝います。
カンボジアのクメール正月(チョール・チュナム・トメイ)
カンボジアでは昔から4月頃になると天から女神が降りてくると伝えられており、その時をクメール正月としてお祝いします。天から降りてくる女神は7人姉妹で、そのうちの一人が降りてくるとされ、今年は女神トンサデヴィ(Tungsa Tevy)が降臨するとのことです。ちなみに、お正月(今年は4月14日なので日曜日)の曜日によって降りてくる女神が変わるそうです。日本のお正月ですと午前0時を越えると新年を迎えますが、カンボジアでは年によって正月を迎える時間が変動します。今年は4月14日15時12分に新年となります。クメール正月の日付や時間は、カンボジア政府に属している祈祷師のような方からのお告げで決まります。カンボジアでは90%以上が仏教徒なので、各家庭で祭壇とお供え物を用意し、女神を迎え入れます。4月頃に4日間祝います。
カンボジアでもっとも祝福ムードにつつまれるクメール正月
3回あるお正月のなかでも一番盛り上がるのがクメール正月で、地元へ帰って家族との時間を過ごしたり、家族揃ってお寺に出かけたり、水かけ祭りのイベントが催されたりと、国が一気にお祝いムードに包まれます。「アンコール・ソンクラン」と呼ばれる水かけ祭りは、近年カンボジアで人気のイベントになります。街中のいたるところで水鉄砲の打ち合いがはじまり、中心通りは歩行者天国となります。
一般的に、クメール正月にはカンボジア人は田舎へ帰郷するため、お店も閉まるところが増えます。特に地方出身者が田舎に帰るプノンペンでは、クメール正月の間は大変静かになります。ただしシェムリアップ(アンコール遺跡がある場所)に関しては観光地ということもあり、外国人観光客のほか、カンボジア人もアンコールワットを訪れに地方から集まって来るので、他の街とは少し様子が違います。クメール正月のアンコールワットはライトアップされており、屋台もたくさん出ています。また、広場では伝統舞踊やライブパフォーマンスの催しがあるので、それらを見ながらお正月を祝うこともできます。