カンボジアの証券市場が伸びているのはご存知でしょうか?
もちろん、日本に比べたらまだまだ小さい市場です。2011年プノンペンに設立されたカンボジア証券取引所(Cambodia Securities Exchange:CSX)ですが、ここ最近急激に時価総額・投資家数が伸びている市場なので、一度確認をしてみましょう。
カンボジア証券市場への投資家数が倍増
カンボジア証券取引所(以下CSX)は、2018年の同国の証券市場への投資家数が2万人を超え、倍増したことを明らかにした。外国人投資家は微増だった一方で、国内投資家は7千人から1万7千人へと急増しました。CSXは増加の要因として、同国の証券市場に対する楽観的な見通しが持たれ始めたため、としました。また、証券市場が活性化する材料として、同国における平均約7%の経済成長率の継続、上場会社の事業の成長による高い配当利回りなどを挙げました。
上場企業の増加により証券市場が活性化
マイクロファイナンス大手のハッタ・カクセカー(HKL)は2018年5月にリエル建て社債発行をカンボジア証券取引委員会(SECC)に申請して、同年12月に同国初となる社債を上場しました。発行総額は1,200億リエル(約34億円、1リエル=約0.028円)。ハッタカクセカー社は貸出残高において業界3位に位置する大手マイクロファイナンス機関で、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下のタイ大手銀行アユタヤ銀行が2016年に買収しました。
スリランカ系マイクロファイナンス機関のランカ・オリックス・リーシング・カンパニー(LOLC)は、2019年5月10日カンボジア証券取引所に社債を上場しました。発行総額は800億リエル(約22億円)で、社債上場は上記ハッタ・カクセカー(HKL)に続く国内2件目になります。ランカ・オリックス・リーシング・カンパニーは、スリランカで1980年に日本のオリックスと現地金融機関などとの共同出資により設立されました。オリックスは、発行済株式総数の30.0%を保有していましたが、2018年3月に全株式を売却しました。
地場大手商業銀行であるアクレダ銀行の、従業員の自社株保有を目的とした従業員持ち株会社エーエスエー(ASA)が、株式上場に向けて準備を進めているとの現地報道があります。CSXによると、2019年内に3、4社が上場予定になっております。上場企業数が増加することで、証券口座の開設も増加し、時価総額もかなり増加してきています。時価総額は2018年末の約4億4290万ドルから2019年第1四半期末には約5億3430万ドルまで、約21%増加しました。2019年第1四半期の1日の平均取引量は、1日当たり6万7311株に達し、2018年の平均1万6229株から4倍に増加しました。
なぜ、カンボジアの証券市場が伸びたのか?
CSXは投資家数増加の要因として、カンボジアにおける平均約7%の経済成長率の継続、上場会社の事業の成長による高い配当利回りなどを挙げています。また、マイクロファイナンス大手のハッタ・カクセカー(HKL)が、同国で初めて社債を上場したことで、投資文化が未成熟で企業の資金調達手段が乏しかったカンボジアで、証券市場活性化を促すことになりました。地場証券会社の幹部は、同国が堅調な経済成長を続けるなか、今後、上場企業の増加などに伴い、CSXの株式時価総額が向こう5年で50億ドル(約5500億円)規模に達し、現在の4億ドル規模から急成長を遂げると予測しています。
日本人もカンボジア株を購入できる?
SBIロイヤル証券は、日本のSBIグループの現地法人であり、日系金融機関として唯一となるカンボジアにおける証券事業のフルライセンスを取得した総合証券会社です。同社は、CSXに上場した国有企業シハヌーク港湾公社や上記マイクロファイナンス大手ハッタ・カクセカー(HKL)の主幹事を務めました。また、カンボジア最大手財閥のロイヤルグループも株主であり、同グループの顧客基盤、ネットワーク、SBIグループのリソースを最大限に活用し、企業が上場する際の株式引受およびSBI証券と連携したカンボジア株式の日本における販売など、総合的な業務展開を目指しています。近い将来、日本でもカンボジアの株を購入できるようになるでしょう。
SBIグループは、カンボジアで証券会社以外にも2008年に韓国の全北銀行と共同出資でプノンペン商業銀行を設立しています(2016年全株式を全北銀行に売却)。また同年には、SBIソーシャルレンディングを通じてカンボジア技能実習生支援ローンファンドを販売しています。
まとめ
カンボジアの7%を超える経済成長率の持続が、カンボジア証券市場をこれからも活性化させることでしょう。経済成長を遂げている国の株式投資も魅力的ですが、同じように不動産投資も魅力があります。カンボジアの経済成長により、当然物価も上昇しますし、地価も連れて上昇します。このような経済成長が見込める要因が多く集まっている今、まだ地価が上がり切ってないこのタイミングで、カンボジア不動産で投資をしてみる価値は大いにあります。